2015 年 71 巻 2 号 p. I_213-I_222
本研究では,圧縮性流体と固体の熱連成問題に対して,音速に基づくCFL (Courant-Friedrichs-Lewy)条件を大きく緩和することが可能な計算手法を提案する.なお,流体と固体の物性値の差は十分小さいと仮定した.この手法では,基礎方程式の圧力項を陰的に計算し,固体領域の流速に対して局所平均化操作を行う.この圧力解法に対して,特に新しい時刻の各変数が圧力計算の離散化式を満足するように,密度の更新と固体領域の局所平均化操作を行うという改良を加えたアルゴリズムを新たに提案した.提案された計算手法を用いて,熱伝導性を有する円形の固体領域を含む矩形キャビティ内の自然対流計算を行い,自然対流のように長時間の計算が必要な低マッハ数圧縮性流れにおいて,音速に基づくCFL条件に拘束されず高速な計算が行えることを確認した.