小児歯科学雑誌
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総説
齲蝕発症に関わる遺伝要因の探索
清水 武彦
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2015 年 53 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

齲蝕は世界で最も一般的にみられる多因性,慢性の疾患であり,齲蝕感受性に影響する遺伝要因については未だ明らかとなっていない。過去の齲蝕感受性の遺伝要因の全染色体スクリーニングでは5座位が示唆されており,5q13.3, 13q31.1, 14q11.2, 14q24.3 およびXq27 の染色体領域である。本研究ではこれらの中で第5番染色体の5q13.3領域の詳細なマッピングを行った。フィリピンに住む文化的,行動的習慣が近似した72家族477人を対象に一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism : SNP)分析を行った。また,異なる5集団1446人において齲蝕経験をもとに反復実験を行った。5q13.3領域において齲蝕経験と関連のある3遺伝子を検出し,他の集団とも結果は重複した。加えて,同じ被検者においてエナメル質形成に関与する遺伝子のSNP分析を行った。齲蝕経験と最も強い関連を示したのはアメロゲニン遺伝子であった。これらの結果より,第5番染色体5q13.3領域内の遺伝子およびアメロゲニン遺伝子が齲蝕感受性に関与している可能性が示唆された。

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© 2015 日本小児歯科学会
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