抄録
がん終末期の症状緩和において持続皮下投与は有用であるが,クロルプロマジン・レボメプロマジンの皮膚刺激性が問題になることがある.2010年4月から2013年3月までに,当院緩和ケア病棟において向精神薬(クロルプロマジン・レボメプロマジン・ミダゾラム)を持続皮下投与した全患者について,CTCAE v4.0 Gr.3以上の皮膚有害事象を生じた頻度を調べた.上記3剤のいずれかを持続皮下投与したのは389/603例(64.5%)であった.Gr.3(潰瘍または壊死)以上の皮膚有害事象を生じた頻度(95%信頼区間)は,クロルプロマジン4/345例:1.2(0.0-2.3)%・レボメプロマジン2/90例:2.2(−0.8-5.2)%・ミダゾラム0/210例:0.0(0.0-0.0)%であった.向精神薬の持続皮下投与における重篤な皮膚有害事象の発生頻度は低く,皮膚への安全性は許容できる範囲と考えられる.