植物環境工学
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短報
緑色域光源に対するマイタケの生体電位応答と形態形成
オグントインボ ボラジ平間 淳司湯本 理人伊藤 友理柳橋 秀幸松井 良雄西堀 耕三
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2016 年 28 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

本研究では,従前に実施した可視域波長の光に対するマイタケの生体電位応答と形態形成について,従前で行わなかった近紫外域波長に対するそれを追加するとともに,従前で報告した波長域におけるそれも再度調べた.その結果,従前と同様に420~480 nmの青色域で生体電位応答は大となり,当該範囲で再現性を得た.一方,540 nmにおいて今回は生体電位応答が大となり,小であった従前と比較し明確な差異が見られた.また,今回試行の360~380 nmの近紫外域でも生体電位応答は大となった.この結果に基づき,青色光下と緑色光下でマイタケを栽培し,その形態形成を比較した結果,両者ともに菌柄の伸長は抑制され,菌傘の生長が促進される傾向を示した.この形態は従前の研究から,生体電位応答が大となる条件下で得られるものであり,生体電位応答と形態形成との関係が改めて示唆されるとともに,緑色光に一定の成育効果が示唆された.菌傘の色は緑色光で褐色化が抑えられ,商品価値の優位性が確認された.また,栽培現場における作業者の目の疲労の軽減の観点から,青色よりも波長の長い緑色は有用であり,栽培現場での採用の可能性も示唆された.

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© 2016 日本生物環境工学会
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