カウンセリング研究
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昭和10年代の教育相談における忠言(アドバイス)の科学性
鈴木 聡志
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2010 年 43 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

わが国では1934年からの約10年間に教育相談施設が多数開設され,それに伴い教育相談のあり方が議論された。当時の教育相談は,親等に忠言(アドバイス)を与えることを主としていた。本研究は,昭和10年代の教育相談における忠言の科学性に関する議論を,現代的観点から再検討する。常識に基づいた忠言が推奨されていたが,これは科学的ではないようである。知能検査と実態調査が科学性を保証すると考えられていたが,それらは処置をもたらさなかった。条件発生的考察も科学性を保証すると考えられていた。これはゲシュタルト心理学に基づく児童理解で,これが展開していたなら,わが国独自の臨床心理学となる可能性があったと考えられる。

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© 2010 日本カウンセリング学会
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