臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 膠原病の新規治療
強皮症の新たな治療概念
桑名 正隆
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2015 年 27 巻 4 号 p. 281-287

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抄録

   強皮症(SSc)はいまだ有効な治療法のない難治性病態として取り残されている.その理由は線維化により正常構造が改変してしまった組織に可逆性はなく,移植や再生医療を行わない限り機能回復は望めないからである.そのため,病変に可逆性が残されている発症早期に的確な治療介入を行い,病変の進行を未然に防ぐ治療概念が提案されている.ただし,このような治療を実践するためには,早期からの正確な診断と将来の進行,予後予測が必須である.2013年に改訂された新分類基準では早期,軽症例を可能な範囲で取り込むことに主眼が置かれた.また,皮膚硬化がなくてもレイノー現象がありSScに特徴的な爪郭毛細血管異常またはSSc関連自己抗体が認められる例を超早期SScとして把握する概念が提唱されている.さらに,経過中にみられる最大の皮膚硬化範囲による分類(びまん,限局皮膚硬化型)に自己抗体を組み合わせることで病型や予後予測が可能である.今後,SScの早期診断が広く普及し,早期SScの自然歴が明確になれば,早期治療介入による治療成績の向上が期待できる.

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© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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