日本畜産学会報
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一般論文(原著)
栃木県における後継牛確保の選択性
長田 雅宏牛島 仁小澤 壯行
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2016 年 87 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

わが国の酪農は,飼養頭数規模の拡大にともない,乳牛初妊牛の導入によって後継牛を確保する経営体が増加している.しかし,北海道を主とする初妊牛価格は高騰していることから,安定した後継牛確保は喫緊の課題である.そこで本研究は,栃木県の家族労働力を主とする酪農経営に焦点を充て,後継牛確保の選択行動を決定付ける要因と公共育成牧場に対する利用者・非利用者の預託ニーズをCS分析によって明らかにし,公共育成牧場の発展可能性を検討した.分析の結果,①酪農経営の71.7%は後継牛を自家育成し,31.4%が公共育成牧場の預託制度を利用していること,②育成牛の預託は,牛舎収容力と労働力の側面で酪農経営を補完していること,③公共育成牧場は,受精卵移植や性選別技術を活用し,効率的な後継牛生産と収益性の高い乳牛初妊牛を産出していることが明らかになった.育成牛の預託は,飼養頭数規模の拡大に応じた後継牛確保の得策であることが示唆された.

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© 2016 公益社団法人 日本畜産学会
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