園芸学研究
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栽培管理・作型
夏秋小ギクの開花斉一性向上における親株系統選抜の重要性
仲 照史角川 由加前田 茂一後藤 丹十郎
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2016 年 15 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

夏秋ギク型品種を用いた小ギク生産における開花斉一性を高めることを目的に,挿し穂の前歴が開花に及ぼす影響を7~8月咲き小ギク‘みのる’と‘翁丸’を用いて検討した.開花日のばらつきには挿し穂前歴のうち,採穂節位と親株の個体間差の影響が大きく,分枝次数の影響は小さかった.そこで親株の個体間差に着目し,系統選抜による開花斉一化の可能性を検討した.7~8月咲きの‘翁丸’,‘広島紅’および‘小鈴’の親株から,早晩性に特徴のある各々1~5系統が選抜された.これらの系統を用いた翌年のハウス季咲き栽培試験では,選抜を行わなかった対照群と比較して,各選抜系統で開花期間が短くなり,摘心後到花日数の変動係数は小さくなった.年次を変えた露地季咲き条件での試験においても,各選抜系統の早晩性は再現された.また,開花がばらつきやすい無整枝の条件での追試験においても,選抜系統では開花期間が短くなり,開花盛期7日間に開花した切り花比率が高くなった.開花節位は早生系統で低く,晩生系統では高くなる傾向が見られた.

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