花壇用花きの屋内利用を実現するため,廃棄された学校制服の布素材を平板状の袋に縫製加工した布容器に,焼却可能な軽量培地を封入した栽培システムを考案した.本報では,このシステムに適した培地の種類と量を検討した.培地の種類に関しては,ピートモス単体では生育阻害が認められたが,コイアとピートモスの混合培地におけるマリーゴールドとダイアンサスの生育は,赤土を主体とした標準培地と同等であり,実用性が高かった.布容器を用いた場合の生育は,ポリポットと比べ小さくなる傾向にはあったが実用上問題なかった.100 mLの培地量ではマリーゴールドとダイアンサスに生育阻害が認められたため,培地量は200 mLあるいはそれ以上が適していることが明らかとなった.この栽培システムにおいてしばしば問題となる,栽培容器に発生する菌類のITS領域の塩基配列解析を行ったところ,Simplicillium属菌か近縁の菌類であると考えられた.