日本障害者歯科学会雑誌
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原著
知的障害を伴う自閉スペクトラム症のブラッシング行動と年齢の関係について
寺田 ハルカ道脇 信恵須﨑 友香村久木 真実池田 菜津美大島 邦子山本 晋也石倉 行男緒方 克也
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2016 年 37 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

要旨:知的障害を伴う自閉スペクトラム症(以下,ASD)のブラッシング行動の発達過程と介助磨き時の協力状況を知る目的で,暦年齢に対するブラッシング行動の関係を通過率で調査した.加えて対象児者を療育手帳のA判定者(以下,A群),B判定者(以下,B群)に分類し同様に調査した.
方法:調査の方法は面接法を用い,療育手帳の区分,保護者による介助磨きの有無,介助磨き時の協力状況,ブラッシングの自立状況について直接保護者へ口頭で質問し,「はい」と回答した者の割合をその年齢群の通過率とし年齢群間で比較した.
結果:1.「介助磨きを受けている者」の割合は,全対象児者群では12~14歳群74.1%で6~11歳群94.1%より有意な減少を認めた(p<0.05).また,B群では12~14歳群で6~11歳群より有意に減少していた(p<0.001).
2.「介助磨き時に協力的な者」は全対象児者群では6~11歳群で3~5歳群より有意に通過率が高く(p<0.05),一方,A・B群での通過率は年齢群間に著しい差を認めなかった.
3.「1人磨き」の通過率は,全対象児者およびB群で6~11歳群は前年齢群より有意な通過率の増加がみられた(p<0.001,p<0.01).
結論:知的障害を伴うASDの介助磨き時の協力状況やブラッシング行動の発達過程は,ある特定の年代で通過率が高くなっていた.一方できわめて徐々に獲得される性質をもっていた.

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© 2016 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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