わが国の都市高速道路では、近年対距離料金制が導入され、多様な料金設定が可能となっている。これまで都市高速道路料金は償還原則に基づき決定されることから、料金の弾力的な運用よる交通運用は想定されていない。本研究では、対距離料金の多様性と ETC の普及による料金徴収技術の進展を踏まえて、路線別対距離料金の適用性について実証的分析を行う。すなわち、現実規模の都市道路網を想定して、都市高速道路の対距離料金設定に基づく利用者均衡状態(UE)を推計するモデルを作成する。これより、路線別に料金水準の相違する対距離料金を設定して、路線別料金の組み合わせによる妥当な料金設定方法を提案する。すなわち、一律の対距離料金に対して、限界費用価格を考慮した都市高速道路の弾力的な料金設定を定量的に提案することができる。