2016 年 25 巻 3 号 p. 415-420
非脂腺型リンパ腺腫は2005年の唾液腺腫瘍のWHO分類でlymphadenomaから独立した腫瘍である。われわれは2例の耳下腺非脂腺型リンパ腺腫を経験した。症例は54歳男性と61歳女性で,いずれも腫瘤は耳下腺の下方に存在し,境界明瞭でやや硬く,顔面神経麻痺や疼痛を認めなかった。画像検査や穿刺吸引細胞診からワルチン腫瘍を強く疑ったが,2例とも悪性リンパ腫も否定できなかったため,耳下腺浅葉切除術を施行し,非脂腺型リンパ腺腫と診断した。この2例と過去の報告を検討し,非脂腺型リンパ腺腫の臨床像を明らかにすることで,術前の鑑別診断の一助となると思われた。