日本消化器内視鏡学会雑誌
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ダブルバルーン内視鏡は小腸疾患の診断と治療において安全かつ有効な手技である:日本における熟練および非熟練内視鏡医による多施設前向き研究
山本 博徳矢野 智則大宮 直木田中 周田中 信治遠藤 豊松田 知己松井 敏幸飯田 三雄菅野 健太郎
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2016 年 58 巻 4 号 p. 1010-1017

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抄録

背景及び目的:ダブルバルーン内視鏡(double-balloon endoscopy:DBE)は処置能を備え,全小腸における直接的な精密検査を可能にした.その有用性は認識されているものの,その効果と安全性を前向き多施設研究として大規模には評価されていない.DBEが熟練及び非熟練内視鏡医によって施行された場合の効果と安全性を評価するために,前向き多施設共同研究が日本の5つの大学病院とひとつの一般病院において実施された.
方法:179件のDBEが施行された合計120人の患者がこの研究に登録された.このうち129件を熟練者が,50件を非熟練者が施行した.主要および副次的評価項目は安全性評価,検査目的の達成率(新たな病変の同定,治療方針決定に寄与する詳細な観察,もしくは全小腸内視鏡観察による有意な病変の除外),全小腸観察率とした.
結果:検査目的達成率は全体で82.5%(99/120)だった.全小腸観察成功率は70.8%(34/48)だった.有害事象は1.1%で認めた(179件中2件:粘膜損傷と発熱).重篤な有害事象は認められなかった.熟練者と非熟練者の比較ではどの評価項目においても有意な違いは認められなかった.
結論:DBEは小腸疾患を疑う患者にとって有効かつ安全な検査であり,非熟練者でも簡単なトレーニングを受け,熟練者の監督下で行う限り安全に施行可能である.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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