2014 年 60 巻 p. 43-47
近年の福岡県におけるブドウべと病の多発要因を解明するため,基幹薬剤の一つであるQoI 剤の耐性菌検定を実施した。2011年に県内主要産地8ほ場,24罹病葉と2011年と2013年に場内1ほ場14罹病葉について,QoI 剤耐性検定に用いられるPCR-RFLP 法によって,耐性検定を行った。その結果,全葉から耐性菌を示す遺伝子パターンが確認され,県内に広く耐性菌が発生していることが明らかとなった。次に,耐性菌発生ほ場におけるQoI 剤の防除効果の低下とQoI 剤以外の系統薬剤などの発病抑制効果を検討するため,2011年から2013年に場内ほ場で試験を実施した。QoI 剤であるアゾキシストロビン水和剤の防除効果は低く,他系統薬剤のマンゼブ水和剤,ベンチアカリブイソプロピル・マンゼブ水和剤およびマンジプロパミド水和剤の防除効果は高かった。また,卵菌類による病害に対して発病抑制効果があることが知られている亜リン酸肥料も発病を低く抑えた。