The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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特集『高次脳機能障害のリハビリテーション―回復の可能性―』
失語症の機能回復と言語治療
前島 伸一郎岡本 さやか岡崎 英人園田 茂大沢 愛子
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2016 年 53 巻 4 号 p. 273-279

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抄録
 失語症は,いったん獲得された言語機能が,言語領野の器質的病変によって障害を受けた状態をいう.失語症の回復は,発症直後から数カ月以上にわたってみられる.そのメカニズムとして,①損傷された機能領域の回復,②残存領域における機能の再構成,③対側半球による代償機能あるいは対側皮質の賦活などが考えられているが,発症からの時期によって異なる機序を示す可能性がある.失語症の治療として,種々の言語聴覚療法に加え,薬物療法,電気刺激療法などが試みられている.失語症に対する言語治療のエビデンスを示すためには,常に客観的評価を行い,課題の量や頻度が適切かどうかを検証する必要がある.言語療法の効果は言語機能に対するものだけでなく,コミュニケーション能力向上としての役割が大きい.
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© 2016 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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