日本歯科保存学雑誌
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原著
関節リウマチ患者の活動度に及ぼす歯周炎併発の影響
小林 哲夫伊藤 聡島田 惇史村澤 章中園 清吉江 弘正
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2016 年 59 巻 3 号 p. 266-272

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抄録

 目的 : 近年, 歯周炎と関節リウマチ (RA) の関連が注目されている. 本研究の目的は, RA患者におけるRA活動度とPorphyromonas gingivalis peptidylarginie deiminase (PPAD) に対する血清抗体価に及ぼす歯周炎併発の影響を評価することである.
 方法 : 本研究は, 新潟大学歯学部倫理委員会ならびに新潟県立リウマチセンター倫理委員会の承認を得て, インフォームドコンセントが得られた歯周炎併発RA患者44名 (Test群), 歯周炎非併発RA患者13名 (Control群) を対象とした. 歯周検査としてplaque control record, gingival index, bleeding on probing, probing depth, clinical attachment levelをおのおの測定し, RA検査としてRA活動度 (the disease activity score including 28 joints using C-reactive protein [DAS28-CRP]) と投薬状態を評価した. さらに, 血清検査としてrheumatoid factor, CRP, matrix metalloproteinase-3, interleukin-6, tumor necrosis factor-alphaの血清濃度, ならびにcyclic citrullinated peptide (CCP), PPADに対する血清immunoglobulin G (IgG) 抗体価をおのおのenzyme-linked immunosorbent assay法にて測定した. 群間差の有意性をMann-Whitney U検定にて統計解析した.
 結果 : Test群はControl群と比べて歯周検査の全指標において有意に高い値を示したが, 年齢・性別・喫煙状態・残存歯数・RA検査および血清検査の全指標において, 有意な群間差は認められなかった. また, Test群ではCCPに対する血清IgG抗体価の増加傾向が認められた.
 結論 : RA患者では歯周炎の併発はRA活動度に影響を及ぼさない可能性が示唆されたが, さらに大規模集団での検証が必要である.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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