運動器疼痛であることを把握する3か条は以下の通りである.①患者に,指1本で疼痛部位を示させる,②疼痛部位を直接見て触る(左右差がないかを確認),③関節や脊椎を動かしたときに誘発され,その痛みに一貫性があるかを確認する.急性痛では,速やかにその発痛源を同定かつ除痛し,不要な苦悩の助長と疼痛行動を強化させないことが重要である.一方,難治化した慢性痛の治療目的は,「すでに強化されてしまった苦悩と疼痛行動を弱化し健康行動を増やすこと」であり,主役は運動療法である.筆者は,運動療法を3タイプに大別して頭文字をとりACEと総称し,症例に応じて必要なメニューを選択し,その意義を患者に明確に伝え処方することを推奨している.