2016 年 67 巻 4 号 p. 340-346
成熟期女性の冷え症に対する鍼治療の有効性を多施設共同ランダム化比較試験で検証する。対象は18歳∼39歳の女性で,除外基準に該当せず,冷え症の自覚があり,かつ「冷え症状尺度」の総合得点4点以上の22名とした。割付は,施設毎に登録した被験者を外部のコントローラーが単純無作為化法を用いて行った。介入は,鍼治療群では左右三陰交への置鍼術と左右次髎への低周波鍼通電療法(周波数 1Hz で20分間)を,週1回の間隔で4回実施した。 対照群は試験期間中無治療とした。主要アウトカムはVAS による冷え症の程度,副次的にはSF-36の8つの下位尺度得点と3つのサマリースコアとした。解析では群間の効果量を求めた。除外対象者1名の混入は解析から除外し,脱落した2名を含めた ITT 解析を行った。その結果,鍼治療群12名と対照群9名となり,VAS 値,SF-36の各スコアの効果量では,鍼治療の有効性はみられなかった。

