2016 年 45 巻 6 号 p. 290-294
症例は60歳の男性.42歳時に発症したStanford A型の大動脈解離に対して2回の開胸歴および縦隔炎に対する大網充填術の既往があるMarfan症候群の患者である.60歳時に胸部下行大動脈の再解離(Stanford B型)を発症し,瘤径の急速な拡大を認め手術加療目的に当院へ紹介となった.Marfan症候群であり本来であれば開胸開腹による人工血管置換術の適応であるが,開胸歴と間質性肺炎による低呼吸機能から人工血管置換術はhigh riskであると判断し,胸部・胸腹部に分割しdebranch法,chimney法を用いてTEVARを施行し,エンドリークなく偽腔の血栓化が得られた.Marfan症候群患者に対するdebranch法やchimney法を用いたTEVARはhigh risk症例に対する適応としては考慮できる可能性が示唆された.