2017 年 54 巻 4 号 p. 274-278
てんかんのある人の就労率は一般と比べて低い.この背景には,てんかん発作や併存障害といった医学的側面,てんかんのある人自身の自信欠如,依存性,対人関係の困難といった心理的側面,就労支援のための法制度の不備や職場の理解の不足といった社会的側面があると考えられる.てんかんのある人にとって就労は経済的なメリットになるだけでなく,社会の中で責任をもち役割を果たすことで自己効力感や自尊心を高め,いわゆるリカバリーを進めることにもつながる.てんかんのある人の就労支援は,本人の希望を尊重しながら,医学的側面から心理社会的側面に至るまで多重的,多層的に行っていく必要がある.