【目的】本研究の目的は,がん患者の家族が,終末期における治療中止の何に,どのような理由で後悔をしているか記述的に明らかにすることである.【方法】がん患者の遺族37名を対象に,意思決定当時と現在の2時点にかけての心理的プロセスに関する半構造化面接を行った.結果は,内容分析によって整理した.【結果】約40%の遺族に何らかの後悔についての発話がみられた.後悔の内容は,8カテゴリーに分類され,決定当時の4カテゴリーから,現在は7カテゴリーに多様化した.後悔に関連する理由は43カテゴリーに分類された.後悔がない理由は,患者や家族の要因や医療者との関係といった当時の状況に関するものが多かった.後悔がある理由は,意思決定のプロセスや選択肢,心理的対処といった意思決定の仕方と医療者との関係が多かった.【結論】後悔の性質と機能的な心理的対処の関連を理解することで,遺族の後悔制御方略を提案できる可能性が示唆された.