環境化学
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高架道路から水域への重金属の流出と由来
三島 聡子大塚 知泰庄司 成敬坂本 広美安部 明美
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2005 年 15 巻 2 号 p. 335-343

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抄録

PRTR対象重金属は, 様々な用途に使われ, 環境中に広く存在し, 人の健康や生態系に影響を及ぼすおそれがあると考えられる。本研究では, このPRTR対象重金属について, 降雨による高架道路からの水環境への流出実態とその由来を明らかにすることを目的とした。
高架道路上の道路粉じんが降雨などで河川へ流出することにより, 重金属のうち特にマンガン, 銅及び亜鉛の水環境への負荷があることが明らかになった。クロム, 鉛は路面表示用塗料, マンガンはアスファルトに高濃度に含まれていた。また, タイヤ中には亜鉛が高濃度で含まれていることが明らかとなり, 流出物を多く含むバイパス排水の流入口底質では, Zn濃度が高い場合にタイヤの添加剤DPPD濃度も高い傾向が認められた。これらのことから, 道路粉じん中のZnの主な由来はタイヤであることが明らかになった。PRTR法においては, 自動車排ガス, 路面標示用塗料からの環境排出量が推計されているが, タイヤからの亜鉛の環境排出にも注目すべきである。

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© 日本環境化学会
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